求人情報  お問い合わせ  アクセス

Q1.私はインフルエンザ真っ盛りの時期に出産となってしまいます。

A .妊婦がインフルエンザ・ワクチンを受けても安全かどうか、もしくは積極的に受けるべきかどうか、については、以前より議論と臨床現場での混乱があります。
以前の主流的ガイドラインとしては、「やはり、妊娠中に受けるのは控えた方がいい」けれども、「仮に受けてしまったからといっても、それが特に問題となるわけではない」というものでした。
確か2004年のことだと思いますが、兵庫県医師会の方からも、同様の指導、通達がありました。
ところが同年、日本産婦人科医会の方からは、インフルエンザ・ワクチンを妊婦が受けても、何も問題はないし、妊娠中にインフルエンザに罹患することこそ、避けるようにするべきなので、「むしろ積極的に受けるようにするべき」とのガイドラインが示されたわけです。
このあたりが、担当医によって言うことが異なるし、現場が混乱している理由だと思います。
私自身の考えは、積極的に受ける方に賛成です。

この情報は役に立ちましたか?

一番上へ

Q2.希望すれば無痛分娩をしていただけるのでしょうか?噂では、あまり積極的には勧められないと聞きましたが。

A .無痛分娩は施行しています。具体的方法としては、最も安全かつ有効と思われる硬膜外麻酔を用いています。
「あまり積極的に勧めていない」という噂は真実です。とはいえ、他の施設で、実は技術的に自信がない故に「あまり勧めません。」と説明していることもあるようですが、私は違います。「勧めない」とはいえ、実は当院で自然出産される方の3割強が無痛分娩となっています。
無痛分娩も含めて、産科麻酔は私の最も得意とする領域です。
この手技に関しては、まず誰にも負けませんし、常に世界の第一線の研究報告に目を通して、知識を補充するようにしています。
積極的にお勧めしない理由の1つを、以下に述べます。
そもそも一般的に医療とは、自然の摂理に反しようとするものです。例えば、癌の治療にしても、自然に発生して来たものを、無理矢理切り取ろうとするものだし、感染症の治療も似たようなものです。今流行のアンチエイジングなど、自然の摂理に反する最たるものです。しかし、産科医療は、これらとは性格を全く異にします。
分娩管理とは基本的に自然の摂理を見守るものであり、余計な手を加えない方がいいことが多いのです。
もちろん、全ての分娩で自然に任せた方がいいかと言えば、そうではありません。全て自然がいいなら、産科医の存在理由がないともいえます。
陣痛促進剤が必要な例もあれば、帝王切開が必要な例もあります。帝王切開が新生児に何か悪いことがあるかと言えば(実際はないこともないのですが)、それはひとまず否定していいでしょう。では、全ての分娩を帝王切開とした方がいいでしょうか?そんなことはないですね。帝王切開が必要な例もあります。無痛分娩が必要な例もあるのです。反対に、全ての例で無痛分娩が必要ということはないはずです。
いずれは無痛分娩に関する私自身の考え方を、詳細にまとめて公表しなければならないと思っています。現状それができていない理由は2つあります。1つは私自身の怠慢のため、もう1つは無痛分娩を積極的に勧めていらっしゃる施設のポリシーに、どうしても衝突しますので、その点の配慮に苦心しているからです。しかしここでは以下、その辺りの事情を少し御説明いたします。
日本では産科麻酔、特に無痛分娩が産科医主体で開発研究されて来ました。ある意味これは不幸であったと思います。
私が産科麻酔に積極的に取り組むようになったのは、もともと小児麻酔を専門としていた私が、創設時の大阪府立母子保健総合医療センターに麻酔科の責任者として着任した後のことでした。同センターは妊婦と新生児が主体の施設であり、麻酔科医としては、産科麻酔という領域に、否応なく取り組まなければなりませんでした。
それまでの私は、専門外であったとはいえ、「麻酔指導医」の資格も持っていたし、産科麻酔の領域についても十分な知識と経験があると、自惚れがありました。しかし、同センターで多くの症例にぶつかり、改めて産科麻酔に関する考察を行って、自分自身の不勉強さを思い知りました。同時に、日本の世間一般に行われている産科麻酔の現状に愕然としました。それは産科医主体となって開発された無痛分娩の手技(吸入麻酔薬を用いた全身麻酔!麻酔科医の常識として、妊婦に吸入麻酔を長時間投与するなど、もってのほかのことです。)に関しても同様でした。
また、産科医が発表して来た産科麻酔に関する研究とは、正直申して統計学的処理にお粗末なものが多く、また、問題点のとらえ方がずれているというか、「どうしてこの点を追求していないのか?」と、つっこみを入れたくなるものが殆どでした。実は今日でも、他の産科医と話していると、同様の考え方のギャップを感じることが多くあります。
逆に、麻酔科医が行って来た産科麻酔の方法にも、実はいろいろ問題がありました。私が見たところ、当時の研究は殆どが症例報告であり、条件付けした症例数を集めて統計学的処理を行った考察など、非常に稀なものでした。これは、当時の麻酔科医で産科麻酔に興味を持つ者が非常に少なかったことが原因と思います。
近年ようやく、日本の麻酔科医の中でも産科麻酔の専門家が活躍し始め、本年は「日本産科麻酔学会」が立ち上がりました。今後は産科医と麻酔科医の双方が意見を述べることにより、充実した議論が行われるのではないかと期待しています。
ここで具体的な方法について少し触れますが、同じ硬膜外麻酔といっても、実は挿入するカテーテルの数、用いる麻酔薬の内容等、施設によってかなりの違いがあります。私はカテーテルは1本のみ挿入し、局所麻酔薬のみを用います。無痛分娩を開始したら、ほぼ全例で陣痛促進剤を用いて、分娩が出来るだけ速く進むようにします。その辺りの理由、考え方を述べると、かなり長くなりますので、ここでは割愛いたします。
機会があれば、追ってHPに掲載いたします。御意見があれば、是非とも承りたいと思います。

この情報は役に立ちましたか?

一番上へ

 

PAGE TOP